Tagaytay での研修を終えて、Daetに戻りました。
振り返ってみると、ものすごく内容の濃い研修でした。
朝8時から夕方6時までぎっしりのフィリピンらしからぬ
スケジュールが組まれ、さらに休み時間や食事の時間も、
プレゼンの準備に追われていました。
フィリピンらしかったのは、10時と3時のおやつが必ず用意されたこと。
食べなきゃいいのに、出されたら拒まぬ主義のワタシ。
ぜったいまた太っただろうなぁ。
研修2日目は、児童売買の事例を分析し、またどのようなケースが児童売買とみなされるのか判断のポイントを学びました。
座学はほんの一部だけで、大変工夫の凝らされた講義でした。
例えば、事例の分析では、グループに分かれて、手渡されたヒントをもとに建物内に隠された断片的な事例文を探して、
意味の通る事例を組み立てるゲームから始まり、
事例が出来上がったら、次はその内容をグループ毎に
寸劇で表現したりしました。
また、児童を含む人身売買がどのようなルートで最終的な働き先まで運ばれるのかを理解するために、実際に可能な限りの移動手段を使ったルートの数々を地図に書き込んだりもしました。
仲介者は、なるべく安く、そして捕まりにくいルートをとるため、
網の目のように監視を行う必要があること、
また仲介者は転々と移動するため、人身売買の現場を押さえることは難しく、またできたとしても立証できる十分な証拠がつかめないので裁判まで至らないケースが多いことを学びました。
講義の中で、何度か気になったことがありました。
講師の先生が、Japayukiという言葉を使うときに、若干軽蔑したような笑いを浮かべながら発言していたこと。
『Japayuki』とは、フィリピンでは日本に出稼ぎに行く人たちのことを意味します。
特に、バーや風俗店などで働く女性を意味する場合が多いようで、
日本で数ヶ月から数年働き、短期間で楽に稼いで帰ってくるという風に見られているようです。
もちろん仕事の内容を理解した上、望んで日本にいくJapayukiさんもいます。
一方で、極端に貧しかったり、十分な教育を受けておらず職につけない女性や子供が、日本で短期間で稼げるという甘い言葉にだまされて、日本に送られ、給料も支払われないまま強制的に働かされているということもあるのです。
エンターテイメントビザともいわれる興行ビザの取得が非常に難しい現在は、人身売買の数は減少しているそう。それでも、日本人と結婚した遠い親戚を尋ねるという理由で観光ビザを使って法的には問題なく入国し、到着直後に働き先に連れて行かれるというケースが報告されているとのこと。
近所のお兄ちゃんが、「あの家は、奥さんがジャパユキだから、大きな家が建てられたんだ」とこれまた軽蔑したように話していたことを思い出しました。稼いで帰ってこれる人ももちろんいますが、きっと今この瞬間も、すぐにでも母国に帰りたいと思いながら強制労働を強いられている人がいます。
日本での人身売買の実態を知り、同じ日本人として恥ずかしく、そして申し訳なく感じました。